いったい何があった……?
 昨夜会ったときはいつもと変わらなかった。そして、今日は今初めて会ったわけで……。
 自分に原因があるとは思えない。なら、何が原因なのか――。
 紅葉祭のときとは違い、組ごとにスケジュールが組まれている今、翠が何をしていた時間なのかすら把握はできていない。
「優太、少し席を外す」
「了解」

 赤組がどこで練習をしているのかなど知らない俺は、ひとまず二年A組へ向かった。
 簾条の性格を鑑みれば、簾条は間違いなくチアリーディングに属しているだろう。しかし、運動ができない翠が同じ班にいるとは思えない。それでも、簾条さえ見つければ、翠が何をしていた時間なのかはわかるはず……。
 幸い、簾条は教室でチアリーディングの練習をしていた。
 廊下から呼びつけると、簾条は眉間にしわを寄せてやってきた。
「なんの用?」
「この時間、翠が何をしているのか知りたいんだけど」
「……あんた聞いてないの?」
 その言葉に不快感を覚えた。
 俺が翠の何を聞いていないというのか――。
「翠葉なら応援団の練習で、今日はグラウンドに出てるわよ」
 は……?
 簾条は何を言っているのか。翠が応援団の練習って言ったか?
「やだ、本当に何も聞いてないのっ?」
「……悪い、話が一切見えないんだけど」
「翠葉、赤組の副団長なのよ。だから、今は外。応援団の練習中」
 思い切り虚をつかれた。