お昼にはスタッフが用意してくれた海鮮バーベキューを食べ、お腹がいっぱいになると海斗くんと佐野くんはすぐに海へ向かって走り出した。
「若者は元気だね~……」
 唯兄の言葉に、残りのメンバーが苦笑を浮かべながら頷く。
「翠葉、さっきは置いてっちゃってごめんね? 宿題を半分以上終わらせなかったら行っちゃだめってお母さんに言われてて、昨日まで宿題漬けだったんだよ~……。で、海を目にしたら何かがはじけました」
「飛鳥ちゃん、気にしないで?」
「本当にごめんっ! それにしても、翠葉が泳げないなんて知らなかった。考えてみたら泳ぐのも運動のうちだもんね。だからできないのか」
 うーん……それもあるけどちょっと違う。
 どう話そうか考えあぐねていると、
「あら、飛鳥知らないの? 翠葉って意外と負けず嫌いなのよ? できないことなんて進んで言うわけないじゃない」
 桃華さんの言うとおりで、思わず苦笑を浮かべてしまう。
 確かに、知られないで済むのなら、自分からは言わなかっただろう。でも、この先もずっと泳げないままというのはいかがなものか。