「佐野くん、今度は私の話をしてもいい?」
 ペットボトルを傾ける佐野くんに尋ねると、
「うん、いいよ。進路のこと? それとも――」
 私は小さな声で、「ツカサのこと」と答えた。
「なんかあった?」
「……ん。あったようなないような……」
「何それ」
 私はバッグの中から携帯を取り出し、ツカサからいただいた誕生日プレゼント、携帯ストラップを佐野くんに見せた。
「このストラップ、誕生日にツカサにプレゼントされたものなの」
「そうなの?」
「うん。その前につけていたのは秋斗さんからいただいたものだったのだけど……」
「それがどうかした?」
「……ツカサにプレゼントされたとき、秋斗さんからいただいたストラップを外してほしいようなことを言われたの――というのは直接言われたわけじゃなくて、私が勝手にそう解釈しただけなのだけど……」
「ま、なんとなく想像はできるし、先輩の気持ちも理解できる」
 問題はその先なのだ。