私、逃げているのかな……。本当は、ただ五パーセントの可能性に乗じているだけで、ツカサとの関係を進めたくないのかな。子どもができるかもしれないから、と悩んでいるように見せて、ただ単に、そういった関係になる覚悟が持てないだけなのだろうか。
「翠葉ちゃん」
 不意に声をかけられビクリ、と身体が震えた。すると、果歩さんに肩をポンポンと叩かれる。
「何も考えずに前に進むより、思い悩んで進むほうが私はいいと思う。悩みたいだけ悩みな。きっと司は無理強いせず待ってくれるよ。でも、待っていたところで誰かが答えをくれる問題じゃない。だから、答えは自分で出すってことだけは肝に銘じておこうね。それから、石橋は叩きすぎると渡る前に壊れるよ。気をつけなね」
「……はい」
 ツカサに提示した気持ちから五パーセントの部分を差し引くと、キスと抱きしめられることに慣れたら、ということになる。
 まだ、慣れる気は全くしない。でも、慣れたときにはツカサを受け入れることができるのだろうか。
 予想すらできない。そのときには自分の中で答えが出ていると思いたいけど……。