「……私、もともと人見知りなの。でも、男子を怖いと思うようになったきっかけは別にあったみたい」
「その、自分のことじゃないような話しぶり、なんなの」
 あまりにも痛いところをつかれて苦笑しか出てこない。
「飛翔くんに訊かれるまで、理由を考えたことがなかったの。だから、過去の自分を振り返ったら、今の自分からは少し距離があって、ほんの少し他人事みたいに思えた」
 呆れられるだろうなと思って話したけれど、案の定――飛翔くんはひどく胡散臭いものを見るような目で私を見下ろしていた。
「飛翔ー! 何なに、御園生センパイ捕獲? 俺、連行班だからセンパイ引き受けるよ」
 声を発し駆け寄ってきたのは、どこかで見たことがあるような男子だった。
「真島、これはいい。扱いが面倒だから俺が連れていく。代わりにおまえが捕獲班になれ」
「やだよっ。俺、こんな暑い中走りたくないってば!」
「つべこべ言わずに行け」
 飛翔くんがじろりと睨むと、その男子は文句を言いながらも走りだした。
 こういう、視線で人を動かすところはツカサと似ている。
 飛翔くんの視線がこちらを向くと、「話の続き」と先を促された。