週が明けて学校へ行くと、翠葉はとてもすっきりとした顔をしていた。
 これは藤宮司と何か進展があったと思うべきだろう。
 幸い、クラスにはまだまばらにしか人間がいない。海斗たちもいないこのタイミングなら訊けるだろうか。
「翠葉、おはよう」
「桃華さん、おはよう」
「ずいぶんとすっきりとした顔をしてるけど、藤宮司と仲直りできたの?」
 翠葉ははにかんだ笑顔を見せた。
「昨日、ツカサが会いにきてくれたの。そのとき、ここ二週間のことを話したよ。ツカサが何を思っていたのか、聞くことができた」
「なんだったの?」
 はた迷惑極まりなかったのだから、理由くらいは訊いても許される。そんなふうに思っていたけれど、
「ごめんね、それは秘密。でも、聞けて良かった。知ることができて良かった」
 翠葉は口を割らなかった。
 今までの経験からすると、これは翠葉側の話、または問題ではないのだろう。
 去年の携帯事件のときも、藤宮司側の問題を考慮して私たちには何ひとつ話さなかった。自分の問題ではないから人には話せない――その境界はしっかりと線引きをする子。