……どうしよう、泣きそう――。
 でも、その前に確認だけはしよう。
「避けてたっていうのは……」
 一息に言うことができなくて、息継ぎを要する。
「手――つないでもすぐに離されちゃうのとか、隣に座ってもすぐに席を立たれちゃうのとか……そういうこと?」
「そう。それらの行動すべてに対して謝りたい」
 謝るのはどうして……? 謝ったうえで「別れたい」と言われるのだろうか。
 やだな……謝るのなら、「もうしない」と言ってほしい。
「……じゃぁ、もう、そういうの、しない……?」
 清水の舞台から飛び降りる気持ちで尋ねた。すると、ツカサは小さく「あぁ」と頷く。
 ならば、この話はどこへ着地するのか。次は何を尋ねればいいのか――。
 使い物にならない頭を必死で回す。でも、ずっと使われていなかった機械のようにピクリとも動かない。
 沈黙が怖い……。何か、何か言わなくちゃ……。
 不安に加えて焦りを感じていると、
「翠、俺は……どこまで自分を抑えられるのかがわからない」
「え……?」
 何を言われたのか理解ができなかった。