「言われなくてもわかってる。食べられる分だけ食べればいい。残した分は俺が食べる」
「……ありがとう」
 そんなやり取りをして思う。
 そういえば、私とツカサはこんな会話ばかりだな、と。
 何か特別な話題があるわけではない。ただ、何を食べるとか何をするとか、身の回りにある話ばかり。
 特別な存在だけど、常に特別な会話があるわけではないのだ。
 そのことに気づいたら、何を悩んでいたのか、とばかばかしくなる。
 差し出されたお弁当を不思議な気持ちで開ける。と、
「最近秋兄に会った?」
 唐突な質問に驚いた。
「……ほとんど毎日会ってるよ?」
「なんで毎日?」
「唯兄が夕飯に戻ってくるとき、たいていは秋斗さんも一緒に来るの。だから、三月末からかな? 土日以外は一緒に夕飯を食べることが多いよ」