桜林館から学食へ移動し、ツカサは定食をオーダーした。
 てっきり今日はお弁当じゃないのかと思いきや、図書室に戻るなりかばんからお弁当箱を取り出す。
「両方食べるの?」
「まさか……。翠は今日弁当持ってきてないだろ?」
「うん」
 入学式の準備は午後少し過ぎるくらいに終わるということだったからお弁当は持ってきていなかった。
「弁当は翠が食べていい」
「えっ……もしかしてそのために学食でオーダーしたの?」
「そうだけど……」
「言ってくれれば良かったのにっ。私、まだお腹空いてないし大丈夫だったのに」
「……もう一時半。お腹が空いてなくても何か食べるべき」
 その一言で私の意見は却下される。
「でも……私、これ全部は食べられないよ?」
 真白さんの手料理は好き。けれど味と分量は別問題。