林檎の甘い恋模様

トントン…と階段を登る足音。


えっ?と思って、思わず顔をあげたら。


「ははっ、あいかわらず泣き虫だな。」
ギュッと手を繋いでくれる、りく君がいた。


えぇっ?


思わず涙が引っ込んだ私。


「このままじゃ、階段から転ぶの目に見えてたから(笑)」
そう言って、一緒に階段を降りてくれるりく君は、まるで王子様みたいで…。


私をイスに座らせると、何事もなかったように、自分のイスに座っていた。


今の流れを、ポカン…と見ていたみんなが、
「大神、お前、王子様か‼」
「超カッコイイんだけど?てか、超うらやましいけど?」と大騒ぎに。


厳かだった卒業式が、いつの間にかすごく賑やかな卒業式になってしまっていた…。