――もしみんなが乗った豪華客船が氷山にぶつかったとしたら、
僕は、みんなの幸せを祈り、自分の身を捧げても構わない。
彼女もきっとそうするだろう。
きっと、僕たちは賛美歌と十字架に導かれることもなければ、
同じ場所で永遠にぐるぐると輪廻を繰り返すわけでもない。
2人で、星をめぐりながら、
どこまでも、ずっと一緒に行こう。
これが、僕と君にとっての、本当の幸せ。
「あか~いめ~だまのさっそり~」
「ええ!? トシミどうしたの? うなされてたよ」
「は? 歌ってたんだけど……」
ガタンゴトンと電車の音が鳴り響く中、
彼女は全く上手くない歌声で『星めぐりの歌』を奏でた。
「ひっかりの~わしのつーばさぁ~」
「え? せーちゃんこそ突然1人でぶつぶつ喋りだして、どしたの!?」
「……おれも歌ってたんだけど。さっきの歌の続き」
その次は、あおいめーだまのこーいぬー、だったっけ。
夜空の星たちが幻想的に描き出されるこの曲が、僕は好きだ。
「せーちゃんも歌苦手って言ってたけど、実は音痴なんだね。何かショック……」
「ちょ、トシミには言われたくないし」
僕がそう言うと、彼女は「ひどい!」と言って頬を膨らませてから、ぷぷっと笑い出した。
今日の空は雲ひとつない快晴。
満点の星空の中を、僕たちを乗せた電車は進んでいく。
僕も彼女につられて笑った後、その手をぎゅっと握った。
☆おわり☆

