どくん、どくん、と鼓動がどんどん速まっていく。
柔らかい余韻を持たせ、そこから離れたけど足りなかった。
「ん……」
もう一度、重ねる。
くっついた部分が、さっきよりも温かい。
いつの間にか、彼女の腕は僕の首の後ろに回されていた。
あ、懐かしいな……。
キスしたり、抱き合ったりする時、よく彼女はそうしてくれた。
そうやって僕を求めてくれるのが嬉しかった。
「トシミ……」
さっきよりも深く。
次は、優しく。
僕よりも厚みのあるその唇。
離れそうになったらすぐ、また塞ぎにかかった。
「……っ。せーちゃ……」
2人分の白い息が明るくなっていく空に溶け込んでいく。
どうしよう、止まらない。
頭の中が彼女でいっぱいになり、
朝の空気により体の表面は冷たいけれど、中はどんどん熱くなっていく。
再び踏切がかんかんと音を出し、車のエンジン音が近づいてきた。
僕は構わず、何度も、何度も、息が止まってもいいくらいに彼女にキスをしていた。
「待って、苦しいよ……っ」
その合間をぬって、彼女が吐息混じりの声でつぶやく。
「わ。ごめんね!」
僕もやっと我にかえり、彼女の体から離れた。
がたんがたん、と再び電車は踏切内を通り、僕たちのすぐ横に車が2、3台並んだ。
うわ。
こんな道端で、しかも朝っぱらから。
何しているんだ自分!
でも、どうしても抑えることができなかった。
「ううん。嬉しい。ドキドキした」
そう言って、目の前で彼女は目を細めながら、頬を赤くする。
だから、そういう可愛い顔とか言葉とか、
そういうのやばいですから。
急に素に戻った僕は、心臓の音がばくばくとさっきより激しく鳴っていることに気がついた。
うわ、またキスしたい。ぎゅっとしたい。めちゃくちゃにしたい。
って、こんなときに何を考えているんだ! おれ!
――幸せすぎて、やばい。

