「ううっ、やっぱりわたしはせーちゃんのカムパネルラにはなれないよぉ……。
だって生きていたいし、せーちゃんと一緒にいたい……っ」
トシミちゃんの声が揺らいでいく。
僕は足下を見ていたけど、驚いて彼女の顔に視線を移した。
ああ。何で、そういうこと言うのかなぁ。
もう二度と離したくなくなるじゃん。
僕だってそうだ。同じ気持ちだ。
でも、どうすれば、彼女に伝わるのだろう。
僕は少しだけ空を見上げ、明るくなる夜空の中で光を薄めていく星の瞬きを目で追った。
僕と彼女にとっての本当の幸せ――。
あ、そういうことか。
どうしてお互い今までこの考えに至らなかったのだろう。
いや、色々あって僕たちはそう考えることができなかったのだ。
「あはは、今さら何言ってんだ、って感じだよね」
トシミちゃんは僕から一歩離れながら、自嘲気味につぶやいた。
「そろそろ行くね。ごめん……」
「だめ、行かないで」
彼女の言葉が終わらないうちに、僕はその体をぎゅっと抱きしめた。
すぐ横の道路に車が通り、流れるようにライトで僕たちが照らされる。
1つになった僕たちの薄い影が浮かび上がり、それは足元を軸に半円を描いた。
彼女が羽織っているパーカーは厚手のものだったため、
きつく包まないと彼女自身の感触が確かめられなかった。
「ちょっと……どうしたの……」
戸惑いを帯びたその言葉を遮り、
僕は震えそうな声を彼女の耳元で振り絞った。
「ねえ、だめかなぁ。おれたち2人で幸せになるの。もういいじゃん、2人でひとつってことで」

