僕の幸せは、星をめぐるように。



先生もまた、すでに見つけていた。

大切な人を。


もしかしたら、あの手紙に書いてあった彼氏さんなのかもしれない。


先生は仕事ができる人だった。

だけど、心の中はボロボロになりやすい人。


先生になるという夢を壊してしまった原因は僕だ。


ずっと先生に対して罪悪感を抱いていた。もちろん今も。


だから先生と再会した後、彼女からの呼び出しにいつも応じてきた。


気づいていないわけじゃない。

先生が時々、僕を元生徒ではなく、1人の男の子として見ていてくれていることに。


でも、旦那さんがいる先生に恋愛感情は持ってはいけないし、もう持つつもりもない。


先生も、きっと良くないことだと分かっているんだと思う。


僕の存在が、先生を惑わせているのだとしたら、

僕は先生の幸せを祈りながら、先生の前から姿を消すべきなのだ。



トシミちゃんも同様だ。


今、まさに僕のせいで彼女は自分の生活を捨てて、ここにいる。

彼女の日常に支障が出ているはず。


彼女を早くあの町に戻すことが僕のやるべきことだと思う。


頭ではそう分かっている。



だけど――



『阿部くん、おかえりー!』


『せーちゃん顔赤くなってきたよ』


『本当の幸せって何なんだろう』



久しぶりに会えて嬉しかった。


僕自身が彼女から離れたくないと思った。



やっぱり今でも僕は、トシミちゃんが好きだ。


彼女と一緒にいることが自分にとっての幸せなのだ。



僕は、本当の幸せのためなら自分の命を削って構わないと決心したジョバンニにも、

実際に友達を助けて自分の命を落としてしまったカムパネルラにもなれない。



叶うならば、彼女と一緒にずっと生きていたい。



こんなわがままで自分勝手な僕を、

もう一度、彼女に許してもらうことはできるのだろうか。