ちょっと胸をざわつかせながら、
僕も布団を掴み、首まで上げようとしたが――。
気がつくと、僕の頭に彼女の手が乗せられていた。
何かをためらっているような、少しぎこちない手つきで、髪の毛に指が通される。
ぎゅっと胸が締め付けられた。
撫でられている頭から、
じわじわとトシミちゃんの感触が体に染み込んでいく。
ゆっくりと彼女の方へ視線を移すと、
「せーちゃん……」と耳元で切なげな声を発された。
びっくりした。
彼女との体の距離は腕一本ないくらいだった。
まあ、狭いベッドで2人きりなんだし、
寝がえりを打つだけでそうなってしまうんだけど。
テンパって何も言えないでいると、もう片方の手は僕の首の付け根に回され、ぎゅっと彼女の腕に上半身が包まれた。
――ちょ、やばいって!
心臓の音が喉の奥で暴れまわっている。
体が密着している分、彼女の鼓動の音も感じた。
あたかもそれが自分のものかのように聞こえた。
さっき彼女にキスしようとした感覚も思い出す。
思考を停止させて、もう自分のしたいままに行動してしまおうか。
いや、だめだめだめだめ!
トシミちゃんにとっては僕はただの高校時代の同級生。
まあ、元カレか。
でも、僕にとっては特別な人だからこそ、そういうことは絶対にしてはいけないのだと思う。
だって、今日の彼女は明らかにいつもと違う。
付き合っていた時も、彼女から僕を誘うようなことはほとんど無かったし。
(無理やりキスマークつけられたことはあったけど)
鋼のマインドをもって心と体を落ち着かせ、首に絡まっている細い腕をぎゅっと握った。
そして「こら、だめでしょ」と言いながら、必死にそれを彼女の体の方へ戻した。
「……ごめん」
静かに低くつぶやく声が暗闇から聞こえてきた。
僕は彼女の反対側に寝がえりをうち、布団を首までかぶりなおした。
あーもう。本当やばいって!

