僕の幸せは、星をめぐるように。




☆ ★ ☆



大きく深呼吸をして、その場で2、3回軽くジャンプする。


目的地は、踏切り板とその奥に広がる着地用の砂場。


行くぞ!


心と体と風のタイミングを合わせ、スタートを切った。


スピードを上げ、右足と左足で順番に地を蹴る。

正確なピッチを刻み、1、2、3、4と足裏で地面に数字を置いていく。


そして、


1、2、3、4、GO!


ちょうど17歩目。

最後の5は自分に暗示をかけるように、行け! と英語に変換する。


それと同時に、右足で思いっきり踏切り板を蹴った。



重力にならった空気を切り裂き、わたしは飛び立つ。


空中でもがき、少しでも高く、少しでも遠くに。



そして、砂の海へ――。





「トシミちゃーん! すんげぇ~!」


「まじか!? うちらの記録なんてまじオナラレベルじゃん!」


うーん、着地は微妙だったかな。


柔らかい砂の上に思いっきり尻から落ちた。

しかし手前の砂を傷つけないように、必死で体を横にねじって踏ん張った。


顔を上げると、幅跳びメンバーはもちろん、先輩や同じ学年の仲間たち、コーチもみんな笑顔と拍手を送ってくれていた。


「おおおお! トシミ復活だ~!」


「ほーら、うちが無理やりスカウトしてきて良かったべ?」


ジャージについた砂をぱんぱんとほろいながら立ち上がると、わたしを誘ってくれた先輩が抱きついてきた。


「ぐ、ぐるしいです」

「飛べなくなってから苦しかったべ? よーしよーし泣け!」


そのまわりを同じ学年のメンバーがわいわいと騒ぎながら囲む。


あれ?

何でこんなに感動的なシーンになっているんだ?