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しばらく阿部くんと会えない日が続いた。
阿部くんは編入試験や準備のため、1週間ほど地元に帰っていた。
わたしも部活が忙しくなり、その間、連絡をほとんど取らなかった。
というよりも、この前のことが気がかりで、
電話もあまり出る気になれず、メッセージも放置してしまっていた。
そのまま春休みが始まる。
今日はクラス離散会+阿部くんのお別れ会。
国道沿いのカラオケ屋さんに、3分の2以上のクラスメイトが集まった。
テンションが高いクラスメイトたちの前で、阿部くんはぼそりぼそりとお礼とお別れの挨拶をしている。
騒がしい中、あまり通らない彼の声は聞こえづらく、
「トシミちゃんとはどーなるの?」
「遠恋になんだべ?」
などという、まわりからの声の方が大部屋の中に響いていた。
チュー! チュー! というコールも始まったことや、
クラス内歌がへたな王座決定戦でトップになれそうなわたしは、ドリンク片手に部屋から逃げ出した。
何だかんだ言って、みんないい人でいいクラスだったけど、こういうノリはやっぱり苦手だ。
この大部屋の他にも2部屋借りているため、歌う部屋とだべる部屋に自然と分かれる。
わたしはだべり部屋の方で、ユカチンやナナミちゃんなど仲の良い女子たちと話していた。

