僕の幸せは、星をめぐるように。


「ん?」


中にはルーズリーフが数枚入っていた。

何だろう、これ。


五線譜の中ににちょこちょこ音符が書かれているものと、アルファベットの並びと断片的な言葉がつづられているもの。

ところどころぐちゃぐちゃに塗りつぶしては書き直されている。


あ、もしかして曲とか作ってたのかな。

へー曲だけじゃなくて、歌詞も書いていたんだ。


ルーズリーフの左上には、書いた日付らしきものがメモされていた。


あれ? この日付……1年前じゃん。

ってことは彼が中学の頃に作ったものか。封印していたのかな?


そういえば、わたしも昔日記を書いていたことがある。

見返すのも恥ずかしいし、母が掃除で入った時にバレないよう、押し入れの奥にこっそり隠したことを思い出した。


これ、誰にも公表していないものっぽいし、見なかったことにしよう。

絶対恥ずかしがりそうだし。


そう思い、缶カンを閉じて元にもどそうとしたが、底にピンク色の封筒があることに気がついた。


ん? 何だろう?


わたしはそれを手に取った。


宛先は阿部くんの実家の住所と、阿部くんの名前。

裏面には何も書かれていない。


「……あっ!」


――差出人の名前と住所が書かれていない手紙。


先生が阿部くんの前から消えた後、手紙が届いたって言っていた。

これ、もしかして……その手紙の実物ではないだろうか。


『書いてあったのは、大変なことになってごめん、ってことと、

実は本命の彼氏がいるから、ごめん、ってこと』


イギリス海岸で、彼はそう言っていたっけ。


中には、封筒と同じ色の便箋が折りたたまれて入っていた。


「……っ!」


わたしは今、何をしているのだろうか。

早く何も見なかったことにしてこの缶カンを元に戻さないと!


人のメールをこっそり見るような。

やってはいけないし、自分ではやりたくないと思っていることにわたしは手を伸ばしている。