あそこはまだ片付け途中だよな。
そう思いながら近づくと、インディーズの音楽雑誌を発見。
あ、スターフィッシュが表紙になってる!
すごい。あのバンド売れてきたんだ。
ボーカルの子、垢ぬけた?
相変わらずベースはイケメンだな~、
などと思いながらページをめくっていたが。
その引き出しの奥。
おせんべいのものらしきステンレス製の缶カンが目に入った。
うわー、賞味期限大丈夫かな? これ。
――って。
同じようなこと前にもあったような……。
『ユカチン、これアウトォー!』
ユカチンの部屋を片付けた時のことを思い出した。
確か、あの缶の中には、元彼とのプリクラがあったんだっけ。
まさか。
まさか、この中に阿部くんの思い出の品が……!?
いやいやいやいや!
わたしは1人で首を必死に振る。
耳をすませると、彼の声が遠ざかっていることに気がついた。
わたしはもう一度、その缶カンに目を移した。
「…………」
ちょっとだけフタの淵がサビている。
結構古そうだ。
『開けちゃいなよ』
『だめだよ』
天使と悪魔が交互にわたしに囁く。
確か、卒アルなど中学時代のものは、実家に置いたままなはず。
やはり古いせんべいが入っているのだろうか。
ほら、賞味期限切れのものだったら早く捨てないと虫がわいちゃうかも。もう3月でだんだん温かくなってきてるし。あ、もし食べれそうだったら、休憩中に2人で食べてもいいし。わたしも片付けで体力使ってちょっとお腹すいてきたし。
「…………」
――ちょっとだけ。
チラ見するだけ!
わたしは、えーい! と勢いよく缶カンを開けた。

