それから旅館内の和食レストランで豪華な夜ご飯を食べた。
しかし、お互い一生懸命に宿題の答えを考えていたため、
美味しいね、そうだね、程度の会話だけして、もくもくと食して終了。
部屋に戻ると、既に布団が2組敷かれていた。
そっか、今日はここで2人で寝るのか、と思うと緊張してきたけど、その前に!
「じゃー発表しましょー」
そう言って、わたしは布団の上に正座した。
「えー微妙にまだ迷ってんだけど」
と言いながら、阿部くんももう1つの布団の上、わたしの正面に正座した。
「じゃ、わたしから行くよ。3位はサマロクの時」
「あー。懐かしいね!」
「花火の中で手をつないできて、超ドキドキした。あれは何? ずるすぎ!」
このテンションだと喉が渇いてきそうなので、
わたしは話しながら、緑茶を2人分入れて枕元に置いておいた。
テレビをつけると、日曜夜のドラマがちょうど始まっていた。
一応毎週見ているやつだけど、それよりも今は目の前の議論の方が重要だった。
「うーん。あれは……トシミがつないで欲しそうだったから?」
右斜め上に視線を移しながら、なぜか疑問形で阿部くんは答えた。
「え!? そ、そんなこと……」
わたし、あの時そんなオーラ出してた?
確かに手をつなぐマネしているうちに、かなりドキドキしちゃったけど。
「ううん。トシミと一緒に花火見れて嬉しかったから」
そう言って、阿部くんは目を細め、ふわりと涙袋とえくぼを見せた。
「もう!」
その顔、可愛すぎ!
緑茶を一口すすり、心を落ち着かせようと思ったけど無理っぽい。
わたしは顔を熱くさせたまま、阿部くんの3位を聞くことに。

