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「うわー美味しいです! ありがとうございます!」
阿部くんファミリーに囲まれたわたしは、
母が作るものよりも肉の量が多いすき焼きをご馳走になっていた。
「この前、大雪のニュースあったけど大丈夫?」と阿部くん母に聞かれる。
「はい、日本海側に比べたらそんな降らないので。あ、でも1mくらいは積もりました」
とわたしが答えると、
「じぇじぇじぇ! すげー、それスノボで登校できるじゃん」
とカヨコさんが驚いていた。
確かに、小学校の頃は、体育の時間に校庭でスキーしていたな~。
なんてことを思い出していると。
少し酔っ払い気味の阿部くん父が、
「こんなに良い子つかまえて、お前どんな手使ったんだよー」と嬉しそうに言ったため、
「ちょ、やめてよ。恥ずかしいじゃん」と阿部くんが制していた。
「地震の時は大丈夫だった?」
「はい、かなり揺れましたが、うちは内陸側なので電気がしばらく止まったくらいで……。あ、ちょっとお手洗い借りていいですか?」
あの大きな地震については、
沿岸に住んでいる親戚の家や職場がボロボロになってしまったり、
友達の友達が亡くなってしまったりと、悲しいことがたくさんあった。
それまでも何度も地震は経験していたけど、あんなに強い揺れは初めてで本当に怖かった。
でも、みんなで助け合って、励まし合って、たくさんのことを考えた。
募金活動をしたり、小さくなった服を送ったり、自分たちにできることを実行した。
あれから数年経ったけど、今もなお避難生活を送っている人はたくさんいる。

