ご飯までまだ時間があるため、テレビをつけて、憧れのテレビ東京にチャンネルを合わせてもらった。
「あ、このアニメ見たかったんだよ~! いいなぁテレ東普通に映ってるし」
ゴッドタンもこっちだと土曜夜にリアルタイムで見れるのか。うらやましいー。
(わたしの町では数週間遅れのものが平日夜に放送されているのだ。)
それから阿部くんは、「そういえば見たいって言ってたね、これ」と言いながら、
中学校の卒業アルバムも出してくれた。
「あ、せーちゃん発見!」
そこには、ガキっぽい顔から大人びた顔までそろった生徒たちの中、今よりも少しだけ幼い阿部くんの写真があった。
そっか、卒アルって秋くらいには全部撮影終わっているものだし、
まだ普通に学校に行っていた頃の写真だろう。
阿部くんの中学時代の話を知っているわたしは、
何となく自分から言いづらかったため、彼から見せてくれたことが嬉しかった。
それにしても。
多少幼くても、やっぱり阿部くんは格好良い。
きっとモテてたんだろうな。
阿部くんの部屋は、お母さんがこまめに掃除をしているのかゴミもホコリも無く、
ベッドや机、テレビなど、家具も一式そろったまま。
阿部くんだけがそこからいなくなってしまったような空間だった。
もちろんその先生らしき女性はどこにも写っていなかった。

