「もう、あんたらは秘密が多すぎるんだって! あたしらもどこまでどう動いたらいいか分かんねーべ? ってこれ前にもトシミさ言わねがったっけ?」


結局、4人で朝自習をサボった。

空き教室でわたしと阿部くんはユカチンからの説教をくらっていた。


「ごめんなさーい」


わたしと阿部くんの声がハモる。


それから、黙っててごめんね、と言って、

阿部くんは2人にこの町に来た経緯を簡単に話した。


先生と個人的に仲良くなったこと、

変な噂をたてられてその先生は学校を退職してしまったこと、

そして、自分も学校に行かなくなって、おばあさんがいるこの町に引っ越して来たこと。


「…………」


クニオもユカチンも衝撃を受けたのか、無言で下を向く。


「もちろん先生に対する罪悪感は消えてなくて。でも、この町来て、みんないい人で、おれと仲良くしてくれて本当にありがとう、って感じだから」


淡々と、ぼそりぼそりとそう喋る阿部くんにわたしは胸を痛ませていた。


先生に罪悪感を持っている、ということに対しても。


でも、それはわたしも受け入れなきゃならないことだと知っている。


ふと時計を見ると、8時25分。

もうすぐ1時間目が始まってしまう。


わたしたちの間には重い空気が漂っていたが、


「あのぅ」


と、わたしは恐る恐る手を挙げた。


「トシミさん何ですか?」とユカチンが顔を上げる。


「いっこだけ聞いていい? 年末にさ、ユカチンの部屋に集まったべ? あの後どうなったの?」


「あ、実は……」


わたしの質問に対し、ユカチンは視線を泳がせながら、隣の机に腰をかけているクニオをちらりと見た。

クニオはあはははと乾いた笑いを返した。