残り時間は1時間。
フローリングの8畳のお部屋を埋め尽くしていたものは、次々とゴミ袋やクローゼット内に集約され、
少しずつ床の木目が顔を出していく。
軽く汗だくになりながら作業をしていたため、成果は出てきたようだ。
「ん?」
わたしは、ベッドの下から顔をのぞかせている、クッキーの缶カンを見つけた。
げ、もしや賞味期限切れのが入ってるんじゃないの?
おそるおそるわたしはそれを開けたが――。
うぅわー、ある意味賞味期限切れ!
「ユカチン、これアウトォー!」
わたしは急いでその中身をゴミ袋の中へ押し込んだ。
「へ? 何入ってたぁ?」
そこに入っていたのは、
中学時代のユカチンと、近くの高校の制服を着たイケメンさんが、
仲良さそうにくっついて写っている数枚のプリクラだった。
しかも、チュープリまであるし!
「あはは~、まだあったんだ。ほら昔の恋は、男は『上書き保存』するけど、女は『別ファイルに保存』するって言うべ~?」
「ユカチン……。それ男女逆ですからーぁ!」
――ピンポーン。
1階でインターホンの音が鳴っている。
部屋の中は、ベッドに勉強机に雑貨が並べられた棚、
壁際には20型のテレビとゲーム機。
余計な物はほぼクローゼットに押し込んだため、シンプルな空間になった。
床にはタグがついたまま放置されていたモコモコのラグを敷いて、
勉強用に折りたたみ机を別の部屋から持ってきた。
なんとか人が入っても恥ずかしくないくらいにはなったと思う。

