「お疲れ様でしたー!」
自転車置き場前にて今日は解散。
ちょうど競技場も閉まる時間になるため、他校の陸上部員たちも多くいる。
あたりは暗くなっていて、近くにある野球場のナイターの光が漏れてきていた。
「トシミちゃんまたねー!」「ばいばーい」
ナナミちゃんの他、同学年の部員とも仲良くなってきたし、
「トシミっこ! 楽しいべ~?」
「はい! 誘っていただいてありがとうございます!」
という感じで、わたしを誘った先輩も、若干ガサツながらもかなり気を遣ってくれた。
もちろん、上下関係はしっかりしているけど、
部活の時間が終われば割とみんなフレンドリーだし、居心地も良い。
この場所でなら、少しずつやっていけるかもしれない。
そう思いながら、何重にも並んでいる自転車の列の中を歩き、自分のママチャリのもとへ向かう。
このあたりには陸上競技場や野球場の他、テニスコートや体育館などたくさんの施設がある。
連日、部活や地元チームの人たちでにぎわう場所のため、
来た時よりも、自転車同士が絡み合うように、きつく並べられていた。
ドミノ倒しにならないよう、慎重に自分の自転車を左右に揺さぶりながら引っこ抜く。
しかし――
バタン、バタン、バタン!
「うわ!」
横から順々に倒れてきた自転車に巻き込まれる。
わたしはバランスをくずし、自分のものを手放してその場にしりもちをついた。
ちょうどわたしの5、6台先が通路だったため、そこでその自転車ドミノは終わった。

