僕の幸せは、星をめぐるように。



☆ ★ ☆


陸上部メンバーたちが、トラックのだ円に沿って、集団でゆっくりと進んでいく。

タータンのトラックの中は芝生になっていて、幅跳び用の砂場や、投てき用の足場などがあった。


わたしはその円周上から外れたところで、

先輩マネージャーと一緒にドリンクの準備をしながら、その様子を眺めていた。


「あれだべ? おめぇも中学の頃やってたんだべ?」


ふと、コーチに話しかけられる。

この部のOBで県内の大学に通う筋肉ムキムキのおにーさんだ。


「はい。幅跳びをちょっと」


「もう自分ではやらねぇの?」


「うーん」


わたしが困った顔で唸ると、コーチは腕を組み直してから、


「もしかして、訳アリ?」


と口調はいたずらっぽくも、優しい表情で聞いてきた。


「……あはは、まあそんな感じです」


わたしもそれにつられて、乾いた笑いを発していた。


この競技場、トラック内部のあの砂場にて、わたしはかつて市内で一番を取った。

何度も表彰台に上がった。賞状もたくさんもらった。


そのことを思い出すと、懐かしくもあり、少し切なくもあった。