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陸上部メンバーたちが、トラックのだ円に沿って、集団でゆっくりと進んでいく。
タータンのトラックの中は芝生になっていて、幅跳び用の砂場や、投てき用の足場などがあった。
わたしはその円周上から外れたところで、
先輩マネージャーと一緒にドリンクの準備をしながら、その様子を眺めていた。
「あれだべ? おめぇも中学の頃やってたんだべ?」
ふと、コーチに話しかけられる。
この部のOBで県内の大学に通う筋肉ムキムキのおにーさんだ。
「はい。幅跳びをちょっと」
「もう自分ではやらねぇの?」
「うーん」
わたしが困った顔で唸ると、コーチは腕を組み直してから、
「もしかして、訳アリ?」
と口調はいたずらっぽくも、優しい表情で聞いてきた。
「……あはは、まあそんな感じです」
わたしもそれにつられて、乾いた笑いを発していた。
この競技場、トラック内部のあの砂場にて、わたしはかつて市内で一番を取った。
何度も表彰台に上がった。賞状もたくさんもらった。
そのことを思い出すと、懐かしくもあり、少し切なくもあった。

