僕の幸せは、星をめぐるように。



それから、土手にあるベンチに2人で座って、川の流れを眺めていた。


ただの河原の割に、居心地は良かった。


時々、人工的に川の水位を下げて海岸出現をさせる試みもやっているらしいし、その時にまた見にこようかな。


「この前――文化祭の後、ごめんね」


「……ううん。あやまらないでよ」


「そうだよね。ごめんね」


「また謝った」


「……ごめん」


少しずつ薄暗くなっていく空。

阿部くんの声も、わたしと同じで、重なり合う雲の中に消え入りそうになっていた。


「謝罪スパイラルだ」


「え?」


「なんでもない」


後ろの遊歩道では、のんびりと近所の人らしきおばさんがオシャレなチワワと一緒に散歩をしている。


わたしはごうごうと流れる川や、足元の芝生、ベンチに立てかけているベースの黒いケース、散歩中の犬へと視線を移す。


それから、すぐ左に座っている阿部くんを見つめた。


無言で、対岸と空の境界線あたりを眺めている彼の表情は、

明りを失っていくどんよりした空よりも、消えそうな空白だった。