「そっか。陸上部ね。いいじゃん、少しずつやってみたら?」
今日は阿部くんも自転車のため、わたしもその隣で自分のママチャリを走らせた。
「う……でも……」
ひとことで言うと、怖い。
1年以上もブランクがある中で、今さら再開することも。
あの陸上部の輪の中に入ることも。
そして、跳ぶことも……。
『……っ! はっ、はぁ!』
体育での過呼吸を思い出すと、息が詰まるような恐怖を感じる。
もうきっぱり辞めたんだ。
「……もうやんないって決めたし」
でも、何度も誘ってくれて、わたしを迎え入れようとしてくれていることは、嬉しかった。
わたしが跳ぶことで、あの陸上部のみんなのためになるんだったら――。
だけど……やっぱり怖い。
考えはぐるぐると円を描いてしまい、結局、何も結論を出せないままでいる。
帰宅部のわたし。
もちろん放課後はヒマだ。
「そっか」
そう呟いて、阿部くんは前髪をふわりと浮かびあがらせながら、
ちらっとだけ、わたしを見た。
今のわたし自身には一体、何があるんだろう。

