中学の頃に確かな実績を残したのに、今この陸上部にいないことに対する罪悪感だろうか。
いや、それもあるけど。
正直、わたしはここにいる部員たちよりも、中学の頃、遠くまで跳べていたと思う。
ものすごく調子にのっている考えかもしれないけど、わたしが入ることによって選手枠から外れる人が出るのかもしれない。
今、構成されている部員たちで、このままやっていった方がよいのではないだろうか。
寒くなってきたし、そろそろ帰ろうかな。
そう、思ったが――。
「うちさ入ればいいのにね。もったいない!」
「んだ! あの子入って入賞してくれれば、部費ももっと確保できるんでね?」
冷たくなったベンチから立ち上がった瞬間、そんな声が聞こえてきたため、わたしは顔を上げた。
すると、その会話の主らしい2年生の幅跳びメンバーたちと目が合う。
「うちら、待ってるよ~!」
その中の、ちょっと派手な顔つきの女子から、そう声をかけられた。
どきん、と胸が鳴る。
その女子に軽く会釈をしてから、帰る旨を伝えるためにわたしをここに誘った先輩のもとに向かった。

