僕の幸せは、星をめぐるように。



☆ ★ ☆


奥に見える文化会館では何か催し物をやっているらしく、

この公園の奥まで、建物や街灯の光がゆるく届いていた。


「ここ懐かしい~。小学校の時、毎年芸術鑑賞っていうのがあって、あそこの大ホールで演劇とか見た後、ここでみんなでお弁当食べたりしたな~」


「そーなんだ。へ~農業高校ってもともとここにあったんだ」


阿部くんは白シャツに紺色のカーディガンを羽織りながら、石碑を眺めていた。


10月も後半。

時間の経過とともに気温も下がっている。


薄暗い中、ちょっと公園内を探索した。


風の又三郎のモニュメントが、遠くで光る街灯に照らされ、芝生に長い影を作っていた。

どうと風が吹くと、葉が橙色に染まりかけた桜の木や、こぶしやぎんどろの木がいっせいに音を鳴らす。


それは心地よくわたしの心を揺さぶっていく。


「わたし実は……ライブの時、阿部くんのことばっかり見てた」


広い公園の中で、わたしたち2人きり。


芝生に座ると、スカート越しにひんやりした草の温度が伝わってきた。


「え? そうなの」


阿部くんは、軽く口をあけたままわたしを見てから、隣に座った。