特設ステージでは、先生がカラオケをしたり、先輩が感謝を叫んでいたり、好きな子に愛の告白をしたりしていた。
――あ、綺麗だな。
次第に空は暗くなっていき、
提灯の優しい光と、ゆらゆらと揺れる炎の光が混ざりあった幻想的な明かりが、
盛り上がる生徒たちを暖かく包んでいた。
何度も、人と人の間をすり抜ける。
――いた!
ちょうど校舎の入り口のあたりに、楽器の黒いケースを背負った軍団を見つけた。
「阿部くん!」
わたしがその軍団に向かって声をかけると、パンク頭くんがチラッとわたしを見た後、手で合図をした。
すると、ニヤっと笑ったイケメン先輩をはじめ、その軍団はさささっと散り散りになって、どこかに消えてしまった。
なんだこのチームワークは!
「あれ、みんなどっかいっちゃった」
きょろきょろとしている阿部くんだけが、そこに取り残されていた。

