ライブが終わった。
たくさんの拍手と声援に包まれた体育館。
4人はステージから降り、次に出る3年生のバンドがステージに上がってきた。
「オラァ感動した~。阿部ちゃんまじかっけーし!」
「阿部くんのとこ行ってみっぺ!」
次のライブを見るために残る人と、体育館からぞろぞろと出ていく人の波に巻き込まれる。
わたしは、ユカチンとクニオと一緒に、ステージ脇にある体育準備室に向かったが……。
「阿部ちゃんまじかっけーし」
「ちょ、ライン教えてけれ~!」
と阿部くんを囲む女子たちと、
「話しかけさ行ってみ! ファイト!」
「えー恥ずかしいって」
とその後ろをそわそわ囲む女子たちの2重の壁ができていて無理だった。
不安げな顔になっているだろうわたしに、ぼそっとユカチンがこう囁いた。
「こりゃ……阿部くん、ブレイクしたね」

