「好きだなんて言葉じゃ、僕には響かないよ」

聞いたことないような冷たい声。


どうやったらそんな声が出るの?だとか、どうやったらそんなに軽蔑した目が出来るのだとかいう質問を頭の中で考えてみたりしたけど口に出すのは止めた。





「世界中の人間が嫌いって感じだね」


「そんなことないよ」


「ううん。そんなことあるよ」


「知ったように言わないでくれる?」


「君こそ私のこと知ったように言わないで」


「キミの事くらい知ってるよ」


「変なの」


「キミの方が変だね」




このままだと言い合いになるだけなので私も如月くんも口を閉じた。




「…だって如月くん、恋なんてしないでしょ?」

「しないよ」


「好きな人なんていないでしょ?」
「そんなのいらないよ」



ほら、ね?

私の言う通りじゃない。





「だけど」


如月くんがぽつりと言葉を落とした。


「欲しいものならあるよ」


当たり前のように私は天才の彼を好きになってしまったけれど、ならば彼はどんな人間を好きになるんだろう?


それは決して私ではないなと思い始めると、溢れ出すように止まらずに、















“あまりにも残酷過ぎて笑えてくるね”



(笑うな)(彼が言った)