私みたいな人間を凡人というのでしょう。



学校の成績も体育の授業も常に平均か、平均より下なくらい。

平和で平凡を好む。

生きている意味も分からなければ、死ぬ意味も分からない。


ただ二酸化炭素を吐き出して世界を汚しているだけの人間。




そんな平凡な私だからこそ、正反対な人間を好きになってしまった。







放課後の教室。


夕暮れをバックに佇む少年を盗み見た。



如月 佐倉(きさらぎ さくら)

それが少年の名前。




容姿端麗、スポーツ万能、成績も常にトップで、欠けたものなどないように、全てに満たされている彼に周りは惹かれてしまう。




勿論、私もその中の一人。




だけど私が一番、彼に惹かれたのはー…。






いつも放課後、
夕暮れをぼんやり眺める彼を見ながら、私は泣きたくなる時があった。






私には彼が欠けているように見えたから。




何でもこなしてみせる完璧な彼は人間として決定的な何かが欠けているのだと思った。




今だって彼は、泣きたいくらいに儚くて今にも消えてしまいそうだから。
















そうやって今日もまた日は沈むんだと思う。













“凡人と世界の創造主”