私が初めて彼を見たのは

高校3年生の冬。

双子の兄(水輝)は同じ高校の3年生。
しかし部活をやっている訳ではなく
Jリーグの下部のユース出身だったが
この春からプロのサッカー選手になる。

どうしても高校サッカーがみたい。とのことで

たまたま一緒に見に行った県決勝の舞台。
特にサッカーが好きなわけではなかったが

兄の水輝に押され見に行った。

同い年の男の子達がプレーしている感動と凄さに圧倒されていたが

1人だけ目に付く男の子がいた。

気になった私は高校サッカーのパンフレットを開いた。

「なに?気になる人でもいた?」

水輝がニヤニヤしながら聞いてくる。

「どれよ?」

そう言いながらピッチを指差して教えろとばかりに言ってくる水輝に

「あの赤いユニフォームのあの人!名前なに?」

そう指差した。

水輝は驚いたような納得したようなかおで

「あー瀬戸ねー。センターバックの。瀬戸託実。イケメンだよねー」

「へぇ〜そうなんだ。」

そう言いながら私の中にその名前がずっと響いていた。

結局試合は瀬戸くんの高校 柏木高校が勝利し選手権出場をした。