目を覚ますと木造の天井が見えました。

横に顔を向けると、窓辺に座り外を眺める龍馬さんの姿があります。

上体を起こすと外を見ていた龍馬さんと目が合いました。

「起きたか」

「はい。あっ……」

昨夜のことを思い出し、思わず顔が火照る感じがしました。

でも

「あれ……?」

首筋に痛みが走った記憶を境に記憶がない。いつ眠ったのかも覚えていない。

私はあの後どうなったんだろう。

毛布をギュッと抱きしめていると、私をジッと見ていた龍馬さんが溜息を吐きました。

「昨日のこと覚えてねえの?」

「……はい」

「安心しろ。何もしてねえから」

「そうなんですか?」

そっか、何もなかったのか。安心したような、残念のような……。

そう思うとますます顔が熱くなって、抱きしめていた毛布に顔を埋めました。そしたら龍馬さんが私を呼びました。

赤くて見っともない顔を見られないように、少しだけ顔を上げたのですが、龍馬さんに上を向かされてしまいました。

「なに残念そうな顔してんだよ」

「そっ、そんなことないです!」

全力で否定したのですが、龍馬さんは口元にイジワルな笑みを浮かべました。

「……真っ赤な顔で否定しても意味なんかねえんだよ。俺を煽るだけ」

肩を押されると優しく布団の上に倒されてしまう。

さっき目を覚まして最初に見えた光景と違うのは、天井だけじゃなくて龍馬さんの姿も見えるということ。