「こらこら、二人とも今は食事中なんだから静かにしなさい」

井上さんが笑いを堪えながら、組長と平助君を宥めます。

平助君はしぶしぶ自分の席に座りました。

「土方くん、出張前に良いものが見れましたね」

「そうだな」

出張と言う言葉に私はピクリと反応する。

「土方さんと山南さんはどちらに出張なさるのですか」

「大阪だ。明後日から行ってくる」

土方さんの返答に胸の辺りがざわつく。

恐らくその出張で山南さんは腕を負傷し、刀が握れなくなる。

山南さんが切腹をしてしまう一つの要因が、目の前まで迫っているのを感じました。

師匠が夢を通して見せてくれた、山南さんの切腹の場面。

あんな悲しい未来、私や師匠は望んでない。

山南さんには本当に幸せだと思える最期を迎えて欲しい。

……山南さんの未来は私が変える。

私は朝食済ませると、すぐに土方さんの部屋に行きました。