「別に天宮さんを信頼しているわけではありません。ただ天宮さんにみたらし団子を作ってもらうには、野菜を全部食べるしかないからです」

組長がキッパリと言いました。

分かっていたことですが、むしろさっき思ってたことですけど、組長に言われると心にグサグサッ!ときますね。

シュンと落ち込んでいると、山南さんが額に手を置きながら呆れたように溜め息を吐きました。

「総司、君は剣術よりも女心を学んだ方がいいですよ」

「え?」

「天宮、こんなヒデェ奴に団子作ってやる必要はねえぞ」

「そうだな。しばらく、総司にだけ作らなくていいからな」

「えぇっ!!どうして近藤さんまでそんなことを言うんですかぁ!!」

慌てふためく組長に、近藤さんと眼鏡コンビ(山南さんと土方さん)が幻滅したような視線を送ります。

組長の頭上にクエスチョンマークが沢山浮かんでいますね。

「天宮君、とりあえず総司の小姓の件は保留でいいですよ。じっくり考えてください。

それと、これを受け取ってください」

山南さんが私の前に浅葱色の羽織が置きました。

これは紛れもなく新選組を象徴する羽織じゃないですか!

あわわっ、それが目の前にある!私、今凄く感激しています!

「さっそく着てみろ」

「はい!」

私は目を輝かせながら浅葱色の羽織に腕を通しました。