私の師匠は沖田総司です【上】

すると、土方さんが溜息を吐きました。

「土方さん、溜息を吐いたら幸せが逃げますよ」

「おまえが溜息吐かせてんだろうが」

私のせいですか?

別に何もしてませんけどね。

「どうして寝ないんだ?」

「それは……」

土方さんの真っ直ぐな目に思わず俯いてしまう。

寝ないのは、寝たら悪夢を見るから。私は悪夢を見たくない。

私と土方さんの間を流れる沈黙。しばらくして土方さんが口を開きました。

「分かった。もう寝ろとは言わない。だが、せめて横になれ。体を休ませるんだ。

それで、明日気分転換に散歩に行って来い。おまえ最近部屋から出てないだろ」

土方さんが私の手を掴み、敷きっぱなしだった布団の中にグイグイと押し込み始める。

抵抗しても成人男性の力に敵うわけもなく、布団の中に入れられてしまいました。

「寝たくないです」

「横になってろ」

土方さんの大きな手が私の目を覆いました。視界が暗くなる。そしたら、微かに煙草の臭いがしました。

これは土方さんの匂いだ。

いつもならイヤな煙草の臭いが不思議と安心感を与えてくれる。

徐々に重くなる瞼。

寝たくないと思えば思うほど、瞼が下がり、私は眠りに落ちた。