この辺りはほとんど電車の利用者がいなくて 乗った時にはいくらかいた乗客たちも 降りるときには半分以下になっている。 街を歩いているのも どちらかと言えば老人のほうが多い。 高齢社会とはよく言ったものだ。 相変わらずイヤホンは付けたまま 家までの帰路を辿っていると 路上に黒のワゴン車が一台 止められているのが見えた。 なんてことないただの路上駐車なんだけど なぜか心臓が高鳴って 体の底のほうから恐怖心が沸いてくる。 早く通り過ぎてしまおうと 早足になって、一気に車を横切る。