好きになっちゃダメなのに。



図書室の、入口から一番離れた壁際。

近くにいくらか机や椅子は置いてあるけれど、そこで勉強している生徒はいなかった。

そりゃあ、よっぽど混雑していない限り、わざわざこんな奥まったところまで来ないよね……。



「晴山さんって、こんな短時間も黙ってられないわけ」


そんな図書室の奥には、目立たないドアがあって。

それをくぐり抜けてドアを閉めると、速水くんはため息交じりにそう言って私を見る。


「だって。……ていうか、ここって」


反射的にぐるりと周りに視線を巡らせる。

図書室より少し薄暗い視界。

そこにあるのは上へと伸びる細い階段だけだった。


……図書室からこんな場所に出られるなんて、知らなかった。


「あー、うん。ここ上るよ」


私の言葉に頷いて、速水くんはその幅の狭い階段を上がっていく。