好きになっちゃダメなのに。


「……本当に大丈夫?」


突然立ちあがって私と志賀先輩の間に割り込んできた速水くんに驚いた表情を浮かべながらも、志賀先輩は心配そうな声色のまま、静かに差し出したハンカチを引っ込めて。


そんな志賀先輩に、速水くんが「ああ」と短く返す。


「あの、ありがとうございました」


気遣ってくれて、とすれ違いざまペコリと一度志賀先輩に頭を下げると、小さく微笑んでくれた。


カフェに入ってくる人たちの流れに逆らって、手を引かれるままに店を出る。


……ていうか。

結局、速水くんの彼女じゃない、って志賀先輩に言えなかったじゃん……!


志賀先輩も、ひどいよ。

速水くんは、フラれたからってすぐに他に彼女を作るような人じゃないのに。

今日は志賀先輩のためだけに、速水くんはあんなに一生懸命にプレゼント、選んでたのに。


なのに。