好きになっちゃダメなのに。


ふと視線をあげた私の視界に飛び込んできた、志賀先輩の綺麗な顔。

私のスカートに飛んだココアがシミにならないか心配するように視線を伏せたその睫毛の長さに、透き通るような肌の白さに、思わず見惚れてしまった。


……ホントに綺麗な人だなぁ……。


なんて悠長なことを考えながら、

「ありがとうございます」

と目の前のハンカチを受け取ろうとした、瞬間。


「いいよ。もう俺たちここ出るから」

「え」


私の目の前にあるハンカチを志賀先輩のほうに押し返したのは。

それと同時に私の腕を強く引いたのは、

他の誰でもない、速水くんで。


「晴山さん、行くよ」

「あ……、はい」


私の腕を掴んでいた手がするりと下りてきて、自然に繋がれた手に、抗うこともできずに頷く。