好きになっちゃダメなのに。


「……あのっ!私っ!!」


なんとか声を振り絞って、思わずガタン、と立ちあがった瞬間。


「きゃっ!?」


勢いよく立ちあがったせいで、手の甲でテーブルの上のココアを倒してしまった。


「バカ、何してんの」


気付いた速水くんがすぐにコップを立ててくれたからそこまで零れなかったけど、それでも気付けば私のスカートにはココアのしぶきが飛んできていて。


「わ、わわわ」

速水くんが差し出してくれたハンカチで慌ててスカートを拭く。



「よかったらこれも使って?」


優しい声と共に、白くて細い指でスッと差し出された、落ち着いた色のチェック柄のハンカチ。


……さすがだね、速水くん。

ちゃんと志賀先輩の好み、分かってるんだ。