好きになっちゃダメなのに。


すると、目が合った速水くんは苦笑する。


「……自分から陽のことを話題にあげておいて、何へこんでるんだよ」

「へ、へこんでないよ!」


私の考えていること、どうしてこう速水くんにはバレバレなんだろう。

さすがに今のは恥ずかしい。

だから、嘘だとばれてしまうと分かってはいても、速水くんの言葉を否定した。


「ホントにへこんでない!気にしてない!」

言葉では何も言わずとも、速水くんの目が「嘘つけ」と言っているのが分かって、私はもう一度否定した。


すると、速水くんはしばらく何も言わずに私の目をじっと見ていたけれど、やがて、ふっ、と優しく笑う。


「……俺が好きなのは、あんただよ」

「し、知ってるもん」


それは信じてる。

速水くんが、今は私のことを見てくれているってこと。


……だけど、速水くんがどれだけ志賀先輩のことを好きだったのかも分かっているつもりだから。

どれだけ大事に思っているのかも、分かっているつもりだから。

だからこそ、信じていても、少しだけ不安になるんだよ。


私は隣に手を伸ばして、彼の制服の袖をキュッと握った。

そんな私に、速水くんは少し驚いたような顔をして。

そして、「バカ」ともう一度、呟いた。


「っ!」