好きになっちゃダメなのに。






────キィ、と軋んだ音が鳴った。

ドアに鍵がかかっていないことに、ホッと息を吐く。

広がる空は、もうすっかり夕焼けの色。


一度だけ来たことがあるここは、速水くんが私に『ご褒美』だと言って連れてきてくれた屋上だ。

バタン、と後ろでドアが閉まる音がした。


ひゅう、と吹きつけてきた風は、前に来たときよりもずっと冷たい。

もうすっかり冬だなぁ、なんて思いながら、広い屋上を歩きながら、ぐるりと見回してみる。


「……あ、」

いた。

速水くん。


屋上の入口がある塔屋の壁に背中を預けて、……寝てる。


「……」


私はこんなにも選挙の結果に興奮しているのに、当の本人はのんきに寝てるなんて。


しかも、こんな場所で。

……って、そうだよ、この時期にこんな場所で寝てるなんて、風邪引く!!