「……じゃ、決まりだね。選挙の前までに、俺が負けたときの賭けの内容も決めといて。まぁ、俺が負けるわけないけど。俺にできることならちゃんとやるから」
「そんなの……」
何もないよ。
須谷くんにやってほしいことなんて、なにもない。
「じゃあ、そういうことでよろしく。……明李」
「!?」
スッと私から離れた須谷くんは、何でもないことのように私の名前を呼んで、去っていった。
「……っ」
なんなの。
なんなの、なんなの!!
去っていく須谷くんの後ろ姿が見えなくなって、私は持っていたふたつの飲み物を胸の前でギュッと抱きしめる。

