また一歩、近づかれた距離に、私はまた、その分だけ距離をとる。
だけど、少しずつ距離を詰めようとしてくる須谷くんから後ずさって、やがて私は背中がトンと壁に当たったのを感じ、もう下がれないことを悟った。
「……絶対、ねぇ」
面白がるような口調の須谷くん。
なんて失礼な人なの!?
「絶対、負けないよ!」
間近に見る須谷くんはやっぱりとても整った顔をしている。
近づかれた距離に対する戸惑いを精一杯隠して、私はまっすぐに須谷くんを見上げた。
「……そこまで言うなら、賭けをしようよ」
しばらくお互いに視線を合わせたままの沈黙が続いた。
それを破ったのは、須谷くんのそんな言葉。
「え?……賭け?」
思いがけないセリフに、私は思わずきょとんと聞き返してしまった。
そんな私に、須谷くんはクスッと笑う。
「そう。賭け」
にっこり笑った須谷くんに、私はなんだか嫌な予感がした。
賭け、なんて。
やったことがないのに、それが自分には絶対向いていないと、なんとなく分かっちゃうのはどうして……!?
「俺が勝ったら、……晴山さん、俺と付き合ってよ」
「……は」

