好きになっちゃダメなのに。


須谷くんは、初めて言葉を交わして以来、こうして偶然会ったときには声をかけてくれるようになった。

生徒会長の座を争うライバルだというのに、そんな空気を微塵も感じさせずに、フレンドリーに接してくれる。

あまりに気さくに話しかけてくれるものだから、初めは戸惑ってしまったけれど、今ではすっかりそんな彼の距離感にも慣れていた。



「はい、コレ」

須谷くんはそう言って、自分の足元に転がっていた100円玉を拾い上げると、にっこり笑って私に差し出してくれる。


「ありがとう」


「……それ、速水の分?」


お礼を言って、受け取った100円玉を財布にしまっていると、ふいに須谷くんが私の手にある飲み物を見てそう言った。


どうして分かったんだろう、と心の中で首をかしげつつ自分の手元を見て、納得。

そっか。

2本持ってるからか。


「うん、コーヒーは速水くんのだよ」

笑ってそう答えると、須谷くんは「そっか」と微笑んだ。