好きになっちゃダメなのに。



「……陽」

「志賀先輩……!あっ、いや、そんなわけないじゃないですか。志賀先輩に推薦人をしていただけるなんて、ホントに光栄ですよ」


────須谷くんの背後から現れた志賀先輩を見て、思わず、といった様子で速水くんが先輩の名前を呼んだのと、慌てたように須谷くんが弁解の声を上げたのは、ほとんど同時。


須谷くんの声の方がずっと大きかったから、速水くんが志賀先輩の名前を呼んだことなんて、きっと私にしか聞こえていない。


「志賀先輩が、須谷くんの……」


須谷くんの言葉に思わず私が言うと、それを聞いた志賀先輩がニコッと笑った。


「そうなの。まったく、この色々忙しい時期に、須谷がどうしてもって言うから引き受けたのに。晴山さんの方がいいなら、頑張って遥斗から奪えば?」


「いやいや、奪うって」


何言ってるんですか、と私が笑い飛ばそうとしたのに、須谷くんは「奪ってもいい?」なんてからかってくるから、困ってしまった。



「………行こう、晴山さん」